映画『さがす』伊東蒼 インタビュー

特集インタビュー
2022年01月21日 17時00分
佐藤二朗主演の映画『さがす』が、2022年1月21日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開。

本作の監督を務めるのは長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』が国内外から高い評価を受け、日本映画界、そして映画ファンに激震を与えた片山慎三。父・原田智を演じるのはマルチに活躍を続ける佐藤二朗。本作ではユーモラスなパブリックイメージを封印し、底知れない凄みと可笑しみがせめぎ合う演技で、姿を消した父の苦悩や矛盾を説得力あふれる演技で表現した。智の娘・楓には今回共演した佐藤をして「天才」と言わしめ、話題となった映画『空白』での古田新太の娘役や「おかえりモネ」でも注目される伊東蒼。指名手配中の連続殺人犯・山内照巳には『東京リベンジャーズ』や「おかえりモネ」など数多くの話題作に出演し、独特の存在感を放ち続ける清水尋也。自殺志願者・ムクドリをNetflixドラマ「全裸監督」で注目を浴びた森田望智。片山監督の豪胆かつ緻密な演出のもと、多彩なキャストが織り成す静と動を巧みに表現した演技の応酬が、衝撃的な物語に圧倒的なリアリティを与える。

大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん！」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった――

今回、本作で佐藤二朗演じる原田智の娘・楓を演じた【伊東蒼】を直撃！佐藤二朗、清水尋也、石井正太朗との共演秘話や出身地・大阪の魅力のほか、高校生活やコロナ禍でのリフレッシュ方法、2022年に挑戦したいことなど、気になる素顔が垣間見えるお話も盛りだくさん♪
Q.今回、物語のカギを握る重要な役どころでしたが、出演が決まった時、どのようなお気持ちでしたか？

伊東蒼(以下、伊東)：初めて台本をもらって読んだ時にすごく「やりたい」と思ったので、オーディションに合格して本当に嬉しい気持ちでした。

Q.オーディションはどのような雰囲気でしたか？

伊東：現場と同じような感じで(片山慎三)監督から指示を頂いて、何度かお芝居をやったのですが、オーディションの最中に監督が笑ってくださいました。最初は緊張していたのですがどんどん緊張が解けて、すごく楽しかったです。

Q.父親役の佐藤二朗さんや、名無し役の清水尋也さんと共演されて勉強になったのはどういった部分ですか？

伊東：二朗さんはお父さんのような感じでした。私の高校受験が終わってからの撮影だったので、高校の話や「高校の先は考えているの？」といった話をしてくださいました。清水さんは初めてお会いして、撮影が始まるまでの時間にお話をさせてもらったのですが、すごく優しくて笑わせてくださいました。でも撮影が始まった瞬間、名無しとしてすごく怖い雰囲気というか、一気にガラッと人が変わった感じになったので、ビックリしました。Q.石井正太朗さん演じる花山くんに告白されるシーンや、西成の商店街で自転車に乗って名無しを追いかけるシーン、香川県の離島に向かうシーンなど、ドキドキするシーンがいっぱいでした。撮影中の思い出で印象に残っていることはありますか？

伊東：花山くんが告白するシーンはもともと台本になくて。その場で追加されたシーンなんです。自分でも、告白された楓の反応が楓らしいな、と思いました。告白のシーンの撮影をしている間も、花山くんがずっと照れていて、それもすごく花山くんらしいです。

Q.特に注目して観てほしいシーンはどこでしょうか？

伊東：花山くんとのシーンは、お互い関西弁なので、掛け合いが面白いと思います。名無しを追いかけているところは、実際に西成の商店街で撮影しているので、町の雰囲気や勢いも含めて、面白いのではないかと思います。Q.役作りで工夫したのはどういった部分でしょうか？

伊東：撮影が始まるまで毎晩台本を読んで、読むたびに「こういう気持ちもあるのではないか」と違う視点で考えたりしました。楓は卓球をやっていて、優勝するぐらい上手という設定なので、ラリーの練習に卓球場へ通い、素振りを毎晩やったり、自分の携帯のホーム画面を卓球にしてみたり、卓球のルールを調べたり。楓の情報を増やせないかな、と考えていろいろ試してみました。

Q.卓球のラリーをしながら、佐藤さんと会話するシーンもとても印象的でした。卓球の練習はどれぐらいされましたか？

伊東：撮影が始まる3週間前から練習が始まりました。本当に最初は全然できなくて、相手のコートにも届かなかったのですが、頑張りました。Q.通天閣や大阪の商店街など、大阪らしい風景もたくさん登場します。伊東さんご自身も大阪出身で、(読者プレゼント用の)チェキ撮影の際に「たこやきポーズ」も披露してくださいましたが、関西弁での演技はやりやすかったですか？

伊東：台詞がすべて関西弁なので、楓や「さがす」という作品がよりいっそう身近に感じられました。関西弁でお芝居ができるのは、自分でもすごく嬉しかったです。関西弁で普段しゃべっているので、毎日の生活でも楓を思い出したり、楓が浮かぶ時がありました。

Q.大阪に行ったことのない人に大阪のよさを勧めるとしたら、何をオススメしますか？

伊東：人がすごく温かくてフレンドリーで、ミスをしてもそこを笑いに変えてくれたり、ボケたら突っ込んでくれたり、相手との距離感が近くてすごく楽しいので、そういうところをオススメします。Q.今回中学生の役でしたが、ご自身は振り返ってみてどのような中学生でしたか？

伊東：友達のおかげですごく楽しく過ごしていました。美術部だったので、仲のいい人や顧問の先生を誘ってみんなでお菓子を食べながら話したり、テスト勉強を部室でやったりしました。私が行っていた中学は行事も多かったので、体育祭や文化祭をみんなで全力でやる楽しい中学生活でした。

Q.今16歳ですが、どのような高校生活を過ごしていますか？

伊東：今もすごく楽しいです。友達もいい人ばかりで、高校も「行事を楽しんでやろう」という雰囲気で、クラスみんなで頑張っています。勉強も難しくはなりましたが、みんなで教え合っています。高校はギター部で、クラシックギターで映画『天気の子』の「グランドエスケープ」を弾けるようになりました。Q.予想を裏切る展開もたくさんありました。完成した作品を観て、印象に残っているシーンはどこでしょうか？

伊東： 名無しと楓の父親がした、ある「約束」を、名無しが守ろうとするシーンです。名無しは悪いことをしているのですが、憎めない部分もあるので、そこがすごく人間を感じました。

Q.監督から言われたことで、心に残っていることはありますか？

伊東：楓が中学校の担任の先生に向かって怒っているシーンで、ぐるぐる歩き回るカットがあるのですが、もともと台本には書いてなくて。監督にその場で「ぐるぐる回ってみて」「手を噛んでみて」と言われました。自分が全然想像できないような演出をしていただいて、すごく記憶に残っています。

Q.瀬戸内海の島で、物語は急展開を迎えます。ご自身は海と山とでは、どちらがお好きですか？海でやりたいことはありますか？

伊東：両方好きですが『島々清しゃ』という映画の撮影の合間に、沖縄・慶留間島の海で泳いだ時に、魚が本当にすぐそばにいました。自分が水族館で泳いでいるような感覚だったので、もう一度慶留間の海で泳ぎたいな、と思います。

Q.もし無人島に行くとしたら何を持って行きますか？

伊東：サバイバル番組を観るのが好きなのですが、ナイフがあれば脱出などができると思うので、ナイフが一番大事かな、と思います。Q.2021年はNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」や映画『空白』への出演が話題となりました。2021年を振り返ってみて、最も心が揺さぶられた瞬間は何でしたか？

伊東：2021年はお手紙やSNSで感想をたくさんいただけたので、それがすごく嬉しかったです。自分のお芝居が届いているというのを感じられました。

Q.本作は1月21日(金)公開ですが、2022年は「こんな年にしたい」「こんなことに挑戦してみたい」などがあれば、教えてください。

伊東：2021年はいろんな作品でいろんな役と出会わせてもらったので、2022年もいろんな作品に出られるように、頑張って一つ一つの作品を一生懸命やりたいです。また、韓国語を勉強しているので、もっと上達できるように頑張りたいと思います。Q.SGSは10代から20代までの女の子が読者層の原宿系のファッションサイトで、映画やファッションのほかスイーツ情報も発信していますが、好きなスイーツはありますか？

伊東：かき氷が好きで、渋谷や新大久保のお店に行っています。かき氷が糸になって出てくるお店があり、すごく美味しかったです。ティラミスやチーズケーキ味のかき氷が好きです。

Q.伊東さんと同世代の女の子がこの作品を観るとしたら、見どころや作品の魅力はどういった部分でしょうか？

伊東：この前友達から「気になる人と何をしよう？」みたいな相談を受けました。一緒に映画を観れば話すことに困らないかな、と思って「映画を観に行ったら？」と勧めました。この作品は、観る人によって全然違ってくる、見た後の感想なども全然違うと思います。仲のいい人やこれから仲良くなりたい人、気になっている人と観に行って、意見交換をするとすごく楽しいのではないかと思います。Q.コロナ禍を生きる中で悩みを抱える女の子もたくさんいます。伊東さんは、壁にぶつかったり悩んだりした時、気持ちを切り替えてリフレッシュするために何をしていますか？

伊東：私は寝たら忘れるタイプなので、嫌なことがあったらすぐに寝るようにしています。それでもモヤモヤする時は、信頼できる友達や母親など誰かに話します。本当に落ち込んだ時は、泣ける曲を聴いて、たくさん泣いて、スッキリします。

Q.普段、何をしている時に「幸せだな」「楽しいな」と感じますか？

伊東：友達とはしゃぎあって笑っている時や、自分が好きなものを見ている時、昼寝をしている時です。どこでもいいので昼寝がしたいな、といつも思っています(笑)。

ありがとうございました。

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[プロフィール]
伊東蒼(いとうあおい)
2005年9月16日生まれ、大阪府出身。6歳の時、ドラマ「アントキノイノチ～プロローグ～天国への引越し屋」(11／TBS)でデビュー。国内外の映画祭で話題となった『湯を沸かすほどの熱い愛』(16／中野量太監督)で映画出演2作目にしてその演技が認められ、第31回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。その後、初主演を果たした『島々清しゃ』(17／新藤風監督)では、第72回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。そのほかの出演作に、『花戦さ』(17／篠原哲雄監督)、『ギャングース』(18／入江悠監督)などがある。今年に入り、連続テレビ小説「おかえりモネ」(21／NHK)、「群青領域」(21／NHK)、『空白』(21／吉田恵輔監督 ※吉田監督のよしは土に口)などの話題作に出演。
本予告
「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」
そう告げた翌朝、父は娘をひとり残し、姿を消した。
孤独と不安を押し殺しながら、娘は父の行方をさがし始める――。
Q.今回、物語のカギを握る重要な役どころでしたが、…
Q.石井正太朗さん演じる花山くんに告白されるシーン…
Q.役作りで工夫したのはどういった部分でしょうか？…
Q.通天閣や大阪の商店街など、大阪らしい風景もたく…
Q.今回中学生の役でしたが、ご自身は振り返ってみて…
Q.予想を裏切る展開もたくさんありました。完成した…
Q.2021年はNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」や映画…
Q.SGSは10代から20代までの女の子が読者層の原宿系の…
Q.コロナ禍を生きる中で悩みを抱える女の子もたくさ…
「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。…
映画概要
【さがす】
1月21日(金) テアトル新宿ほか全国公開
監督・脚本:片山慎三
共同脚本:小寺和久　高田亮
音楽:髙位妃楊子
主演:佐藤二朗
伊東蒼　清水尋也
森田望智　石井正太朗　松岡依都美
成嶋瞳子　品川徹
製作:アスミック・エース、DOKUSO映画館、NK Contents
製作協力:埼玉県／SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
制作協賛:ＣＲＧ
制作プロダクション:レスパスビジョン　
制作協力:レスパスフィルム
英題:Missing
映倫:PG12

公式サイト:映画『さがす』
公式Twitter:@sagasu_movie

©2022『さがす』製作委員会
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